大寄せの茶会が主流となっている現代、茶事において時間を早めるため多くの所作が省略されているのはまぎれもない事実である。特に露地における所作に至っては、ほぼ皆無といってよい。京都市内にも数ある茶道の稽古場では、外露地、内露地を備えることができる程の敷地を有するものは少ないことも所作が省略される原因の一つである。しかし、茶の湯において「露地」は機能の面ではもちろん、世俗から隔離された茶の湯空間への「移行の場」としての役割を果たす重要なものである。今まで茶庭になり得なかった敷地面積において、現代の「茶の湯」で機能する一重露地を作庭した。